非常勤やアルバイトで収入を得ている医師にとって、確定申告は避けて通れない手続き。常勤先で年末調整を受けていても、非常勤収入がある場合は原則として確定申告が必要になります。「面倒だから」と放置すると、追徴課税や延滞税のリスクがあるだけでなく、本来受けられるはずの控除を見逃して損をしているケースも。今回は医師の非常勤勤務に関する確定申告の基本から、押さえておきたい節税ポイントまで丁寧に解説します。
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給与所得が2か所以上ある場合
常勤先に加えて非常勤やスポットで収入を得ている場合、給与の支払い元が2か所以上になるため確定申告が必要です。たとえ月に1回の当直バイトであっても、年間の合計額によっては申告義務が発生します。年末調整は1か所でしか受けられないため、非常勤先の所得は自分で申告する形になります。
給与所得以外の所得が20万円を超える場合
産業医としての報酬や、講演料・原稿料などの雑所得が年間20万円を超えると確定申告が必須です。特に産業医の契約形態が「業務委託」になっている場合は給与所得ではなく事業所得または雑所得に分類されるため、注意が必要です。

確定申告に必要な書類一覧
勤務先から届く書類
確定申告の時期が近づくと、各勤務先から源泉徴収票が届きます。常勤先と非常勤先、それぞれの源泉徴収票を必ず保管しておきましょう。紛失した場合は再発行を依頼できますが、年明けの繁忙期は対応が遅れることもあるため早めの確認が大切です。
自分で用意する書類
以下の書類は自分で準備する必要があります。
・全勤務先の源泉徴収票
・医療費の領収書(医療費控除を受ける場合)
・生命保険料控除証明書
・ふるさと納税の寄附金受領証明書
・住宅ローンの残高証明書(住宅ローン控除を受ける場合)
・マイナンバーカードまたは通知カード
経費として計上できるもの
非常勤先への交通費が自己負担の場合は経費として計上できます。また、学会参加費、医学書の購入費、白衣やスクラブの購入費なども「特定支出控除」の対象になる可能性があります。ただし特定支出控除は給与所得控除の半額を超えた分しか認められないため、ハードルはやや高め。
医師が活用すべき節税テクニック
ふるさと納税の活用
非常勤収入が加わることで年収が上がり、ふるさと納税の控除上限額も増えます。常勤先の年収だけで上限額を計算していると、まだ枠が余っていることがあるため、非常勤収入を含めた正確な上限額をシミュレーションしてみましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoの掛金は全額所得控除の対象。医師のように所得が高い場合、節税効果はかなり大きくなります。常勤先に企業型確定拠出年金がある場合は併用の条件を確認しておく必要がありますが、加入できるなら積極的に活用したい制度です。

小規模企業共済(開業・法人化している場合)
法人を設立して非常勤活動をしている医師なら、小規模企業共済の掛金も全額所得控除の対象になります。月額最大7万円、年間で最大84万円の所得控除が受けられるため、法人化を検討している方はぜひ覚えておきたい制度。
医療費控除の見落とし
自分自身や家族の医療費が年間10万円を超えた場合、医療費控除が適用されます。意外と見落としがちなのが、通院時の交通費やレーシック手術費用、歯科矯正費用なども控除の対象になること。領収書をこまめに保管しておきましょう。
確定申告の具体的な手順
e-Taxでのオンライン申告がおすすめ
国税庁のe-Taxを利用すれば、自宅からオンラインで確定申告が完了します。マイナンバーカードとICカードリーダー(またはスマートフォン)があればすぐに始められます。税務署に行く手間が省けるだけでなく、還付金の振込も早くなるメリットがあります。
税理士に依頼する場合の費用感
「忙しくて自分ではできない」という先生は、税理士への依頼も選択肢。医師の確定申告は3万円〜10万円程度が相場です。非常勤先が多く源泉徴収票の数が多い場合や、不動産所得がある場合は費用が高くなる傾向です。節税提案までしてくれる税理士なら、依頼費以上のリターンが期待できます。
確定申告の期限は毎年3月15日です。期限を過ぎると無申告加算税(最大20%)や延滞税が課されるため、余裕を持って準備しましょう。還付申告の場合は翌年1月1日から5年間提出可能です。

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源泉徴収票の紛失
非常勤先が複数あると、源泉徴収票の管理が煩雑になりがち。届いたらすぐにクリアファイルなどにまとめて保管する習慣をつけましょう。年が明けてから「あの病院の源泉徴収票が見つからない」と焦るケースは非常に多いです。
住民税の計算ミス
確定申告の内容に基づいて翌年の住民税が決定されます。非常勤収入を申告し忘れると、後から修正申告が必要になり、追加の住民税が発生することも。住民税は普通徴収と特別徴収を選べるので、常勤先に非常勤の収入額を知られたくない場合は普通徴収を選択しましょう。
よくある質問
確定申告に関する詳しいルールは国税庁のタックスアンサー(給与所得者の確定申告)で確認できます。また、医師の税務に詳しい専門家を探す場合は日本税理士会連合会の税理士検索が便利です。
まとめ
非常勤勤務をしている医師は、基本的に確定申告が必要です。源泉徴収票の管理、各種控除の活用、期限内の申告という3点を押さえておけば、過度に恐れる必要はありません。ふるさと納税やiDeCoなどの節税制度をフル活用して、手取り額を最大化していきましょう。忙しい先生は税理士への依頼も検討してみてください。
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