「論文を書きたいけど、臨床業務に追われて時間が取れない」「研究活動を続けたいが、そもそも研究日があるのかわからない」――そんな悩みを抱えている医師は多いのではないでしょうか。
研究日は大学病院の特権と思われがちですが、実は一般病院でも設けているケースが増えています。この記事では、研究休暇(研究日)の基本的な仕組みから、職場での取得交渉の進め方、研究日がない場合の対処法まで具体的に解説します。

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研究日の基本的な仕組み
研究日とは、臨床業務から離れて研究活動や自己研鑽に充てることができる日のことです。週に1日(多くは平日の特定曜日)を研究日として設定している病院が一般的で、この日は外来や当直などの臨床業務が免除されます。
大学病院では「リサーチデイ」として制度化されていることが多く、関連病院で勤務している場合でも週1回の研究日が確保されるケースがあります。
研究日にできること
研究日の過ごし方は医師によってさまざまです。
- 論文の執筆・投稿準備
- 学会発表のスライド作成・ポスター準備
- 大学院の講義やセミナーへの参加
- 他施設での非常勤勤務(許可されている場合)
- 専門医取得・更新のための自己学習
- 臨床研究のデータ収集・解析
特に注目すべきは、研究日を利用して非常勤バイトに従事する医師も少なくないという点です。大学病院の勤務医で基本給が低い場合、研究日の一部をバイトに充てることで収入を補填するケースは珍しくありません。
ただ、せっかく研究日を確保しても、英文の書き出しで半日つぶれてしまうという声はよく聞きます。英語論文の構成や定型表現をまとめた書籍を手元に置いておくと、限られた時間を書く作業そのものに使えます。
研究日がある病院とない病院の違い
大学病院:原則として研究日が設定されている
大学病院では「教育・研究・臨床」の三本柱が基本理念であるため、研究日が制度として確立しています。週1日の研究日が一般的ですが、大学院生はさらに多くの研究時間が確保されるケースもあります。
一般病院:病院の方針によって異なる
一般の市中病院では研究日を設けていないケースが多数派です。しかし、医師の採用競争が激化する中、研究日を福利厚生として導入する病院が増加傾向にあります。求人票に「研究日あり」と明記している病院も見られるようになりました。
施設別の研究日の状況
| 施設タイプ | 研究日の有無 | 一般的な頻度 |
|---|---|---|
| 大学病院 | あり(標準) | 週1日 |
| 大学関連病院 | あり(大学方針次第) | 週1日〜月2回 |
| 市中病院(大手) | あり(増加傾向) | 週1日〜月2回 |
| 市中病院(中小) | なし(個別交渉) | – |
| クリニック | なし(原則) | – |
- 大学病院:週1日の研究日が標準的
- 関連病院:大学の方針により研究日が確保される場合がある
- 市中病院:病院の裁量次第(増加傾向)
- クリニック:原則として研究日の設定は少ない
研究日を勝ち取っても、データ解析でつまずくと1日があっという間に溶けます。統計ソフトの操作より先に「どの検定をなぜ選ぶのか」を整理しておきたい方には、医療統計の入門書が土台になります。
研究日取得の交渉方法
現職で交渉する場合
現在の職場に研究日制度がない場合でも、交渉次第で取得できることがあります。以下のステップで進めてみましょう。
1. 研究の目的と意義を明確にする
「なぜ研究時間が必要なのか」を具体的に説明できるように準備します。「論文を〇本発表したい」「専門医の更新に必要な実績を積みたい」など、明確な目標を提示すると説得力が増します。
2. 病院側のメリットを提示する
研究成果が病院の評判向上や患者集客につながることを伝えましょう。「学会発表を通じて病院名が広まる」「論文の実績が病院の研修指定更新に役立つ」などの切り口が有効です。
3. 臨床業務への影響を最小化する提案をする
研究日に自分の外来や担当患者をどうカバーするかの代替案を用意しておくことが重要です。同僚との調整を事前に行い、「臨床に穴を開けない」体制を提案できると交渉がスムーズに進みます。
4. 段階的な導入を提案する
いきなり週1日を求めるのではなく、まずは月1〜2回から始めて、成果を出してから頻度を増やす提案もありです。病院側も受け入れやすくなります。
この4ステップは、要するに院内向けの提案です。口頭だけで伝えるより、A4で1枚にまとめて渡した方が話が残ります。資料の組み立て方に自信がないなら、プレゼン資料作成の本が学会スライドにもそのまま応用できます。

転職時に研究日を条件に入れる場合
転職を検討している場合は、求人探しの段階から「研究日あり」の条件で絞り込むのが効率的です。転職エージェントに「研究日の確保を重視している」と伝えておけば、条件に合う求人を優先的に紹介してもらえます。
面接の場で研究日について確認する場合は、「研究日は週何日ですか」「研究日の曜日は希望を出せますか」といった具体的な質問をしましょう。曖昧な回答をする病院は、制度として確立していない可能性があります。
希望の曜日を取得するコツ
研究日は他の医師と調整して設定されることがほとんどです。そのため、必ずしも希望の曜日に取得できるとは限りません。特定の曜日を希望する理由がある場合(大学院の講義日、学会の定例会など)は、その旨を事前に伝えておくと配慮してもらいやすくなります。
研究日がない場合の代替策
有給休暇を計画的に活用する
研究日が設定されていない病院では、有給休暇を活用して研究時間を確保する方法があります。決まった曜日に定期的に有給を取得すれば、ルーティンとしてまとまった時間を作ることが可能です。
勤務時間外の活用
当直の少ない日や休日を活用して研究を進める方法もあります。ただし、プライベートの時間を削ることになるため、長期間の継続は難しいのが現実です。バーンアウトを避けるためにも、適度な休息とのバランスを意識しましょう。
オンラインツールの活用
共同研究者とのミーティングや論文の共同執筆は、ZoomやSlack、Google Docsなどのオンラインツールを活用すれば、まとまった研究日がなくても少しずつ進められます。移動時間の削減にもなるため、効率的です。
問題は場所です。医局や当直室でオンラインミーティングに入ると、周囲の音が拾われて話が中断しがちになります。ノイズキャンセリング対応のヘッドホンを使う医師は多く、細切れの時間で論文に向かうときにも重宝します。
研究日に非常勤バイトを行う場合は、本務先の就業規則で副業・兼業が許可されているか必ず確認してください。許可なくバイトを行うと懲戒処分の対象になる可能性があります。特に2024年4月からの医師の働き方改革により、労働時間管理が厳格化されているため、研究日の扱いも変わっている病院があります。
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医師転職ドットコムの公式サイトはこちら医師の働き方改革と研究日の関係
2024年4月に施行された医師の働き方改革により、勤務医の時間外労働に上限規制が導入されました。この影響で、研究日の位置づけも変化しています。
研究日は労働時間にカウントされるのか
大学病院での研究活動が「教育・研究の研鑽」として扱われる場合、労働時間としてカウントされるケースが増えています。病院の指揮命令下にある研究活動は労働時間、自発的な自己研鑽は労働時間外という線引きが一般的ですが、判断は病院によって異なります。
研究日の確保が難しくなるケース
時間外労働の上限規制により、臨床業務の効率化が求められる中で、研究時間の確保が以前より難しくなっている施設もあります。一方で、「研究も重要な業務」として明確に位置づけ、労働時間内に研究日を設定する動きも出てきています。
Q&Aコーナー
Q. 研究日は給与が支払われますか?
大学病院の場合は、研究日も勤務日として扱われるのが一般的なので、基本給は減額されません。ただし、外勤先でのバイト収入は別途扱いになります。
Q. 後期研修中でも研究日はもらえますか?
プログラムによって異なりますが、後期研修中は臨床経験を優先する方針の病院が多いため、研究日が設定されないケースが多いです。ただし、大学院に進学している場合は研究時間が確保されます。
Q. 研究日を使って起業準備はできますか?
研究日の使い方については病院ごとにルールが異なります。本来は研究・自己研鑽のための時間なので、起業準備に使うことが許容されるかは事前に確認が必要です。
Q. 研究日を週2日もらうことは可能ですか?
大学院に在籍している場合は週2日以上の研究時間が確保されることもありますが、一般的な勤務医の場合は週1日が上限であるケースがほとんどです。週2日の研究日を希望する場合は、常勤から非常勤に切り替える選択も視野に入ります。
Q. 研究日に学会参加はできますか?
多くの場合、研究日は自己研鑽のための時間として位置づけられているため、学会参加に充てることは一般的に認められています。ただし、出張扱いとして別途申請が必要なケースもあるため、病院の規程を確認しておきましょう。
Q. 研究日をもらったのに研究しないのはまずいですか?
研究日の使い方については病院によって管理の厳しさが異なります。研究日に外勤バイトを行う医師も多く、黙認されているケースが大半です。ただし、就業規則で研究日の使途が限定されている場合は、規則に従うことが求められます。研究の成果をまとめて報告する義務がある病院もあるため、事前の確認が重要です。
まとめ
研究日は医師のキャリア発展に欠かせない時間です。「病院に制度がないから無理」と諦めるのではなく、研究の意義と病院側のメリットを伝えて交渉することで、取得できる可能性は十分にあります。
転職を検討する場合は、最初から研究日を条件に入れて求人を探すのが効率的です。臨床と研究を両立させたい先生は、ぜひ積極的に動いてみてください。

参考:ドクタービジョン「医師の研究日とは?」 / マイナビDOCTOR「医師の研究日とは?」
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